物質の運動に伴う時間と空間の変換式

光の相対速度

 光の相対速度はCq/秒で不変です。これを「光速度不変の原理」と言います。相対速度とは、移動する物体から見た光の速度です。つまり、C/2q/秒で光と対面する形で移動しながら光の速度を測っても、光と併走しながら光の速度を測っても、全てCq/秒としか測ることは出来ないと考えます。

 例えば、時速100キロの電車を時速50キロの自動車で追いかけると、電車は時速50キロで進んでいると見えます。対面する形では、電車は時速150キロと見えます。しかし、特殊相対性理論では、光だけは、どのように動きながらその速さを測定しても、Cq/秒となるとします。


電磁気力

ジェームズ・クラーク・マクスウェル

 これは、大変不思議な現象です。なぜ、この様に考えられたのでしょうか。特殊相対性理論は、電磁気学の理論として提唱されました。電磁気力は、電荷を帯びた物質間を、光の一種である電磁波が往復することで生じます。移動しながら電磁波を交換し合うと、静止している時と比べて往復距離が長くなります。電磁気力は、物質間の距離の2乗に反比例するので、2つの物質が併走する場合、静止時に比べて物質間に働く電磁気力が弱まると思えます。しかし、マックスウェルの方程式では、静止しても併走しても、2つの物質間に働く電磁気力の強さは変わらない式となっています。そして、実際にも変わりません。

 従って、特殊相対性理論では、併走する2つの物体から見た電磁波の相対速度は、Cq/秒で静止時と変わらないと考えました。そうすれば、電磁波の往復に要する時間は、静止時と同じとなり、生じる電磁気力の強さは不変であることを説明することが出来ます。

ローレンツ変換

ヘンドリック・アントーン・ローレンツ

 光の相対速度が一定になる為には、時間と空間が変化しなければなりません。光の速度=光の進んだ距離÷光の進んだ時間です。光の速度が不変となる様に、距離と時間が変化すると考えました。この距離と時間の変換式が、ローレンツ変換です。それは、次の様に表わされます。
@t’= (t−(Vx/C2)) / √(1−V2/C2)
Ax’=(x−Vt)/√(1−V2/C2)
By’= y
Cz’= z
 C=光の速度、V=物質の速度、x=物質の進行方向の距離、y=上下の距離、z=左右の距離、t=時間です。

 光の座標を便宜上、D(x,y,z)=(Ct*cosθ,Ct*sinθ,0)と平面とします。静止系で光がt秒間に進んだ距離は、
E静止系で光の進んだ距離=√(x2+y2+z2)=√{(Ct*cosθ)2+(Ct*sinθ)2+02}=Ctqです。従って、
F静止系における光速度=Ctq÷t秒=Cq/秒です。

 では、V慣性系で、この光の速度は、幾らと測れるでしょうか。
 V慣性系では、時間と空間がローレンツ変換します。(x,y,z,t)が(x’,y’,z’,t’)に変化します。従って、
光の進んだ距離=G√(x’2+y’2+z’2)qと測定されます。
光の進んだ時間=@t’秒と計れます。
 Gに、ローレンツ変換の空間の変換式ABCを代入すると、
HV慣性系で光の進んだ距離=(C−Vcosθ)t/√(1−V2/C2)qとなります。
 Ix=Ct*cosθです。ローレンツ変換の時間の変換式@にIを代入すると
JV慣性系で光の進んだ時間=(C−Vcosθ)t/C√(1−V2/C2)秒となります。

 従って、 KV慣性系における光の速度=H÷J={(C−Vcosθ)t/√(1−V2/C2)q}÷{(C−Vcosθ)t/C√(1−V2/C2)秒}=Cq/秒となります。

 この様に、時間と距離が連動してローレンツ変換すれば、光の相対速度は不変となります。

マイケルソンとモーレーの実験

アルバート・エイブラハム・マイケルソン エドワード・モーリー

 マイケルソン(左写真)とモーレー(右写真)の実験は、鏡を使い光を片道11メートル、地球の進行方向と上下左右方向とに往復させ、その2本の光は同時に戻るか確認するものでした。マイケルソンとモーレーは、2本の光の往復距離が異なるので、同時には戻らないと考えていました。しかしその結果、2本の光は同時に戻ったのです。この現象も、鏡を使った装置から見て、2本の光の相対速度はCq/秒で同じと考えると説明出来ます。2本の光はどちらも、(22メートル÷Cq/秒)で戻ってきたのです。

まとめ

 移動系でも生じる電磁気力が不変なのは事実です。それを説明する為に、「光速度不変の原理」が提唱され、光速度が不変となるには時間と距離がローレンツ変換しなければならないのです。