一般相対性理論は「絶対静止系がない」とする

T. 人類が宇宙の中心に居る理由

 「バッブルの法則」によると、地球からの距離に比例した速さで天体は後退しています。ビッグバンにより天体が四方八方へ飛び散っているのなら、地球はビッグバンと言う爆発の中心付近にまだ在ることになります。
 これでは、宇宙に中心が地球になってしまうので、それを回避するためにビッグバンにより宇宙空間そのものが相似膨張している説が提唱されました。

 では、ビッグバンにより宇宙空間そのものが膨張しているのでしょうか。それとも、ビッグバンにより物質が四方八方へ飛び散っているのでしょうか。
 それを考えるには、空間には実体があって膨張するか否かを検討する必要があります。結論から言うと、空間に実体はなく膨張もしません。その根拠は、相対性理論が「絶対静止系がない」とするからです。

 もし空間に実体があれば、絶対静止である原点Oの印を付けられます。これでは「原点をOとする絶対静止座標(絶対静止系)」が特定され相対性理論は崩壊します。
 また、宇宙空間自体が点から同心円状に膨張すると、宇宙に円周と言う端があり、その中心Oを特定出来ます。これでも、「絶対静止の一点である原点をOとする絶対静止座標(絶対静止系)」が特定され相対性理論は崩壊します。

 「静止系がない」必要条件は、空間に実体がなく無限に広がっていて膨張しないことです。これで「ハッブルの法則」を満たすには、ビッグバンにより天体(物質)が四方八方へ飛び散っており、地球はビッグバンの起こった位置付近にまだ在ることが必要です。そうすれば、地球からの距離に比例した速さで天体は後退します。
 これで、地球が宇宙の中心付近になりました。それを回避するために、ビッグバンにより宇宙空間そのものが相似膨張している説が提唱されたのです。
 しかし逆に、地球はビッグバンの中心付近にまだあり、比較的低速で移動しているからこそ時間の経過が速く(高速で移動すると時間の経過が遅くなる)、宇宙開闢から僅か138億年で知的生命体が誕生できたのではないでしょうか。高速で移動する天体上では時間の経過が遅く、まだ知的生命体が誕生出来ていないと考えられます。
 この様に考えると、宇宙の中心に人類が居ることが自然に思えます。

U.特殊相対性理論と静止系

 では、一般相対性理論では「静止系はない」のか、それとも「静止系がある」のか検証します。
 まず、特殊相対性理論から始めます。
 他の全て質点(質量)から十分遠く隔たって孤立している質点Aを想定します。他の質点から重力や電磁力等の力を受けないので、Aに外力もGも力は一切掛かりません。
 ですから、この質点Aは等速直線運動していると定義出来ます。そして、質点Aが属する系を基準体Kとします。
 そして、等速直線運動する基準体を纏めて慣性系と言います。慣性系ではニュートン力学が成立します。

 質点Aに対して等速直線運動する質点Bを想定します。Bにも力は一切掛かりません。Bは基準体K'に属します。
 Kが静止しK'が移動しているとも、Kが移動しK'が静止しているとも考えられます。何故なら、幾ら空間を探しても静止系がないからです。
 静止系なくして相対性原理が成立するためには、他の系の時間と空間が変化して見えなければなりません。絶対速度が特定出来ないので、物質を変化させることは出来ないからです。
 他の系の「時空間の見え方の変化」を数式で表現したのが、相対性理論です。

 まず、静止系がないことから説明します。
 空間は何もない入れ物です。そして、物質も光もあらゆるものは粒子です。つまり、何もない空間を多数の粒子が動き回っています。
 何もない空間に、絶対静止の一点の印を付けることは出来ません。ここが絶対静止の一点だと指さしていても、指が動いているかも知れません。
 後に残るのは、動き回る多数の粒子です。これでは、どの粒子が静止してどの粒子が運動しているのか分かりません。
 この様に、幾ら探しても宇宙に絶対静止の一点は見つかりません。つまり、静止系はありません。

 次に、相対性原理について説明します。
 地球は自転し太陽の周りを公転し銀河を公転し、銀河同志は遠ざかっています。この様に、地球は絶えず激しい加速減速を繰り返していますが、地上の電磁石の強さは変わりません。
 電磁気力は、電荷を帯びた粒子間を電磁波(光)が往復し生じます。電荷を帯びた粒子が移動すると、電磁波の往復距離は長くなります。電磁気力は距離の2乗に反比例するので、地上の電磁石の強さは激しく変化すると思えます。
 しかし、現実には地上の電磁石の強さは変わりません。マックスウェルの方程式も、電磁石の移動速度に関係なく電磁気力の強さは不変としています。
 このように、観測者がどの様に動いても物理法則は同じに観測されることを「相対性原理」と言います。

 基準体KでもK'でも、物理法則は同じに観測されます。仮に、Kを静止とするとK'は移動しています。ですから、K'では電磁波の往復距離と往復時間が伸びます。それなのに、電磁石の強さは同じです。
 その理由は、Kから見たK'の時間と空間がローレンツ変換するからです。その為、Kから見てK'の電磁石の電磁波は、Kの電磁石と同じ距離を同じ時間で往復して見えます。ですから、生じる電磁力の強さも両者同じと観測されます。

V.一般相対性理論と静止系

 次に、一般相対性理論に移ります。  前出の質点Aの属する基準体Kに対し、加速運動や回転運動する系や重力場のある系を非慣性系と言います。
 先ず、加速系と重力系は同じであることを説明します。
 窓の無い箱の中に居る観測者Pに、Gが下向きに掛かっています。箱の中のPには、箱が上に加速運動しているのか、重力が下向きに掛かっているのか知る術はありません。
 加速系では、慣性力により後方に力Gが掛かります。重力系では、下向きに力Gが掛かります。これが区別出来ないので、慣性質量と重力質量は等価です。ですから、重力系は加速系です。
 また、回転系では外側に遠心力が働きます。

 等速直線運動する基準体Kに対し、加速運動や回転運動する基準体をK''とします。基準体K''に居る観測者Pには常に力(Gや遠心力)が掛かります。ですから、慣性系である基準体Kと非慣性系であるK''は明確に区別されると思えます。また、非慣性系同志でも掛かるGや遠心力の強さの違いで、区別出来ると思えます。

 慣性系の様に、系同志が区別出来なければ、相手の系の時間と空間の見え方が変化することで、双方の物理法則が同じに観測されるしかないのです。つまり、K'の絶対速度が分からないので、物質を変化させて物理法則を同じにすることが出来ないのです。

 慣性系Kと非慣性系K''や非慣性系同志が、その掛かる力により区別出来ると言うことは、速度の基準となる静止系の存在を予感させます。
 静止系を基準として物質の絶対速度や絶対加速度を特定出来れば、それに応じて物質の大きさや物質の変化スピード及び物質が発する力の強さを変化させて、物理法則が同じになるようにすれば良いのです。
 しかし、空間を幾ら探しても静止系は見つかりません。

 では、非慣性系にあるものに掛かるGや遠心力を、どう考えるべきでしょうか。
 加速する電車の中のつり革は、後方に移動します。電車の外に居る人は、慣性力によりつり革がその場に留まろうとし相対的に電車の後方へ移動したと見ます。
 しかし、電車の中の乗客P''は電車が動いているとは考えません。静止系がないからです。乗客P''は、何か得体の知れない力が後ろ向きにつり革に働いていると見ます。
 したがって、非慣性系の慣性力を実体のない「見かけの力」とします。慣性系ではニュートン力学が成立しますが、非慣性系では成立しません。しかし、非慣性系に「見かけの力」を加えると、ニュートン力学が成立します。

 回転系も同様です。回転系の外に居る人は、ものが慣性力により移動方向へまっすぐ飛び出そうとするのを、中心方向へ引く(中心方向へ加速する)ので、外側に向かい遠心力が掛かると見ます。
 回転系に居る観測者P''は、自分が回転しているとは考えません。回転していない静止系がないからです。それなのに、自分に外側に向かって得体の知れない力(遠心力)が掛かっています。
 この様に、Gも遠心力も実体のない「見かけの力」である慣性力により生じると考えます。

 非慣性系で掛かるGや遠心力は実体のない「見かけの力」と定義しました。これで、Gや遠心力を自由に無くしたり加えたり出来ます。
 非慣性系K''で掛かるG(重力を含む)や遠心力の「見かけの力」は無くせて、計算上それが掛からない慣性系Kや、異なる大きさの「見かけの力」が掛かる他の非慣性系と区別出来なくすることが出来ました。
 つまり、非慣性系においても、静止系はなくK''の絶対速度や絶対加速度が特定出来ないのです。

 激しく相対的加速度が変化する地上は、非慣性系K''です。そして、地上の電磁石の強さが不変なことを、物質を変化させて説明することは出来ません。地球の絶対速度や絶対加速度が特定出来ないからです。
 異なる加速系に居るP''からは、地球の時間と空間が変化して見えP''が持つ電磁石と地上の電磁石は同じ距離を同じ時間で電磁波が往復するために、P''の持つ電磁石と地上の電磁石は同じ力となると考えるしかないのです。

 まとめると、全ての慣性系及び非慣性系で物理法則は同じとなります。これが「一般相対性原理」です。そして、静止系がない状態で「一般相対性原理」を満たすには、異なる系の時間と空間が変化して見えるしかないのです。速度や加速度が特定出来ないのに、物質の大きさや物質変化のスピード及び物質の発する力の強さを変化させることが出来ません。
 他の系の時空間の見え方の変化を数式化したのが一般相対性理論です。

W.慣性力を「見かけの力」として無視することが出来るか

 この様に、一般相対性理論も「静止系は存在しない」ことを前提しています。しかし、本当に慣性力は「見かけの力」なので、自由に無視することが出来るのでしょうか。実際に加速運動や円運動すると、Gや遠心力が私の体に掛かりますが、これを無視出来るのでしょうか。

 重力場は「見かけのもの」に過ぎません。自由落下する系を採ると、重力場は存在しなくなります。

 また、地球の中心に向かう列車がブレーキを掛けた状態と重力が掛かった状態は同じです。この様に重力と加速は区別できないので、重力によるGも加速によるGも「見かけのもの」と考えます。

 アインシュタイン博士は、このことを自著「特殊及び一般相対性理論について」の中で比喩を使って表現されています。
 『2つのガスコンロの上に、それぞれ鍋が乗っている。一方の鍋からは蒸気が噴き出しており、他方の鍋からは蒸気は出ていない。しかし、どちらのガスコンロからも青い炎は出ていない。どうして、2つの鍋は異なった振る舞いをするのか、その原因を一生懸命探る。しかし、それは徒労に終わった。』
 これは、一方の系でGや遠心力は掛からず、他方の系ではGや遠心力が掛かるが、両者の違いを説明する基準となる静止系(2つの系の絶対速度や絶対加速度を特定する基準となる静止系)を幾ら探しても見つからないことのたとえです。

 アインシュタイン博士は、こう続けておられます。
 『ニュートンが、加速運動の基準となる静止系を探したが徒労に終わった。この問題は一般相対性原理に即応する物理学によってのみ解決される。』
 結局、幾ら探しても原因はないことが分かったので、蒸気は見かけのものとして無視すべきだと言うことです。
 つまり、Gや遠心力は見かけのものとして無視すべきなのです。

X.慣性力を無視出来なくても絶対静止系は特定されない

 仮に慣性力を無視出来なくても、慣性力によるGや遠心力は、慣性系と非慣性系又は非慣性系同志を区分するだけです。
 つまり、等速直線運動する基準体Kに対する非慣性系K''の加速度が特定されるのです。基準体Kの移動速度自体分かりません。ですからGや遠心力を頼っても、非慣性系K''の移動速度は分かりません。

 基準体Kや非慣性系K''の移動速度が不明なのですから、Gや遠心力を考慮しても静止系がないことに変わりありません。
 したがって、非慣性系も扱う一般相対性理論において「静止系は存在しない」のです。

Y.宇宙背景輻射や宇宙の大規模構造と静止系

 この宇宙は重力が隅々にまで作用しており、どこにも完全な特殊相対性理論の言う慣性系(重力の作用しない系)はありません。
 しかし、重力と加速は区別できないので、重力の作用を打ち消すことが出来ます。

 例えば、地球の重力で自由落下しているエレベーター内では、重力の作用が打ち消され慣性系となります。
 しかし、この様に自由落下する系は、大気圏に再突入するロケット内の空間や前記のエレベーター内の空間等ごく限られたものなので、これを「局所慣性系」と言います。

 局所慣性系から別の局所慣性系を観測した時、時間と空間は「ローレンツ変換」します。
 一般相対性理論は、絶対静止系がないので「局所慣性系」の移動速度は特定出来ないとします。
 つまり、重力の発生源に対して自由落下しているけれども、重力の発生源がどのように動いているか特定できないので、「局所慣性系」の移動速度も特定出来ないのです。

 宇宙背景輻射(CMB)や宇宙の大規模構造を基準にすると、局所慣性系の移動速度が特定されるでしょうか。否、CMBや大規模構造自体が宇宙空間の中をどの様に移動しているのか分からないので、それらを基準にしても局所慣性系の移動速度は特定出来ません。

 ですから、CMBや大規模構造は静止系ではありません。@に対して370[q/s]で移動する局所慣性系Aと270[q/s]で移動する局所慣性系Bを設定します。
 CMBや大規模構造が静止しているとすると、局所慣性系Aは370[q/s]で、局所慣性系Bは270[q/s]で移動していると考えることが出来ます。
 また、局所慣性系Aが静止しているとすると、CMBや大規模構造は-370[q/s]で、局所慣性系Bは-100[q/s]で移動していると考えることが出来ます。
 更に、局所慣性系Bが静止しているとすると、CMBや大規模構造は-270[q/s]で、局所慣性系Aは100[q/s]で移動していると考えることが出来ます。
 この様に、運動とはCMBや大規模構造と局所慣性系ABとの相対的位置関係の変化に過ぎません。ですから、一般相対性理論において、CMBや大規模構造は静止系ではないのです。