自由落下

 質問者さん が疑問に思われていることはこうだと思います。

 パイロットが、ロケットに乗りブラックホールに落下しています。自由落下している最中は、無重力状態となりパイロットはふわふわと宙に浮きます。この時、G等の外力は全く掛かっていません。自由落下でなければ、パイロットには外力が掛かります。例えば、自由落下している方向へロケットが加速したり逆に上方へ加速すると、パイロットはGを感じます。これでは、ふわふわと浮いた状態ではなくなります。

 Wikipediaでは@「自由落下とは、重力以外の外力が存在しない状況下での運動のことである。」とA「一様な重力が働く状況下において初速ゼロで運動を開始した物体の等加速度直線運動のことを特に自由落下と呼ぶことがある」との2つの定義が掲載されています。
 一方、ブラックホールの周辺では、重力は一様ではありません。ブラックホールに近づく程、その重力は強くなって行きます。定義Aによれば、これは自由落下ではないことになります。ブラックホールに近づく程重力が強くなり、加速度がどんどん増してくるので、等加速度直線運動では無くなります。この定義を使うと、ブラックホールに落下するパイロットは、自由落下してはいないことになります。そうすると、G等が掛かり無重力状態ではなくなると思えます。
 これに対して、定義@を使えば、一様な重力ではなくても、重力しか存在していなければ自由落下になります。そうすると、パイロットは無重力状態となります。
 パイロットがロケットに乗ってブラックホールへ自由落下している場合、パイロットにはG等が掛かるのですか、それとも無重力状態なのですか。

 この趣旨のご質問に対して回答させて頂きます。
 重力しか掛かっていなければ、無重力状態となります。地上に立っている人は、重力による自由落下を地表で止められています。つまり、外力が掛かっています。従って、Gを感じるのです。重力以外のロケットの加速度がパイロットに掛かっても、パイロットにはGが掛かります。
 しかし、重力しか掛かっていなければ、幾ら落下するに従って重力が強くなろうと、逆に弱くなろうと(あまり想定出来ないケースですが)、パイロットには何の力も加わらず、無重力の状態となります。@の定義を使えば、答えを導くことが出来ます。

 Aの定義は、ピサの斜塔から鉄球を落とす場合に使います。持っていた鉄球は初速0です。それを離すと鉄球は落下します。ピサの斜塔は高さ55メートルです。地球の大きさから見れば、地上0メートルと地上55メートルにおける地球の重力加速度は、ほぼ一様と考えて良いでしょう。
 これに対して、ボールを投げる場合、ボールが手から離れる瞬間速度があります。そして、斜めに投げ重力により落下し地表に落ちます。二つとも自由落下で、落下している際ボールには何の力も加わってはいません。無重力状態です。
 しかし、学問上、一々ボールを手から離した場面か、ボールを投げた場面か説明する手間を省く為に、前者を「自由落下」、「後者を初速度をもって運動する斜方投射」として区別するのです。こうしておけば、「自由落下」又は「斜方投射」と言うだけで、状況が分かるので便利です。

 質問者さん、この様に、パイロットが無重力か否かを導くには、@の定義を使えば分かり易いでしょう。Aの定義でも、狭義の自由落下ではなくても、重力しか掛かっていなければ無重力となりますが、少し分かり難いですね。

 【補足】
 質問者さん が質問されているのは、「自由落下」の広義の定義・狭義の定義は何かではなく、「ブラックホールに落下する場合無重力となるのか」です。